野田暉行 邦楽作品集

この演奏を前にして、存在へのおののき、陶酔、そして夢を感じないことがあり得るだろうか。　——梅津 時比古

20世紀に書かれた野田暉行の邦楽作品。野田自身の言葉によれば、「時代軸も様式軸も音楽を左右するものではなく、今生きている座標のこの地点で歌うことのみが私の音楽のすべて」。邦楽器でありながら邦楽器を感じさせない。一方、クラシックの記譜法で書かれていながらも、それを感じさせない。邦楽器やクラシック音楽という一般的な固定観念を越え、高い次元で曲の発想と楽器の発想が一体化した独自の世界観が体験できる。演奏の見事さが、これらの名作に新しい生命を吹き込む。

野田は現在を生きていることの文化の文脈、歴史的時間の文脈などの所与の条件、枠組みをひとつひとつ取り除いていったうえで、存在そのものと対峙する。目に見えない、音に聞こえない存在そのものを前にしたとき、人は沈黙せざるを得ない。極言すれば、野田は存在と対峙して自らの沈黙を聴いている。沈黙の激しさを聴いている。　　——梅津 時比古

野田 暉行　作曲：

• [1] [2] 尺八、二面の箏、十七絃のための四重奏曲第1番
• [3] 尺八、箏、チェロのための「リフレクション」
• [4] 邦楽四重奏曲第3番「松の曲」
• [5] 十七絃独奏のための「夜想曲」
• [6] 邦楽四重奏曲第2番「レジェンド」

邦楽四重奏団、山澤慧（チェロ）

録音：ムジカーザ　2016年6月15日［ライヴ・レコーディング］