PIANO PASTOSO 間宮芳生ピアノ作品選集

間宮先生のピアノ作品は、どこをとっても個性的で独特の響きがする。和音は半音階的であろうが、全音階的であろうが、その組成や連結に先生ならではの一定の論理があり、それが和音の響きに独特のつやを与えている。またテンポとリズムの自由な扱いによる展開法には耳を奪われてしまうが、かといってそれは即興的なものではなく、内的な論理に貫かれている。それにしてもエチュード第3番で、ヨーイクに基づいたフレーズが一端終わり、自由なカデンツァ風の展開部分となり、さまざまな背景の色彩を同音の連打がつなぎながら、再びヨーイクの冒頭フレーズへと回帰するところは、本当に幻想的で美しい瞬間だ。中嶋香さんの演奏も、それを余すところなく伝えている。（野平一郎）

• 12のエチュード ピアノのために（2003-2008）
  • Vivace legato
  • Largo
  • Andante mistero (joiku)
  • Agitato (vivace)
  • Calmato recitando
  • Lento teneramente
  • Allegro
  • Allegretto inquieto
  • Allegro strisciando
  • Lento ma non troppo
  • Lievemente
Andante pastoso
• エチュード　ショパン詣（1990）
• 風のしるし・オッフェルトリウム　ピアノ（左手）のために（2004）
  • Presto
  • Moderato
  • Allegretto tranquillo (from Sacred Spells I)
  • Adagio (from Sacred Spells II)
  • Mini Chaconne.Andante


中嶋香（ピアノ）