ハンス・ウルリヒ・シュテープス作品集 Vol. II

ルネサンス・バロック・近代の時空を重ね、美しく多彩な音世界を創出したシュテープス。
高橋明日香の奏でるリコーダーの澄んだ音色を軸に実力派が集い、声楽のための知られざる名品も収録した続編。

高橋明日香によるシュテープス作品集第2弾。ハンス・ウルリヒ・シュテープス（1909〜1988）は、ベルリン音楽大学（現・ベルリン芸術大学）で作曲をパウル・ヒンデミットに師事したドイツの作曲家、音楽教育者、リコーダー奏者。合奏を通じた愛好家の社交活動の重要性を強く信念に持っており、音楽愛好家向けに良質な楽曲を多数残した。声楽を含む作品も2曲収録。

続編となる本盤で最も関心を惹くのは、シュテープスの声楽作品だろう。今回取り上げられた2作品では声楽がリコーダーとピアノに絡む。リコーダーと声楽のレパートリーは決して豊富ではなく、近年ではリコーダーのオブリガートを伴う18世紀のカンタータが知られるようになっているが、シュテープス作品ではそれらとは全く異なる、新古典主義の新しい地平線が拓かれている。詩作も嗜んだこの作曲家が自ら付した詩からは、彼の人生哲学さえ垣間見えよう。　〈井上 玲〉

ハンス・ウルリヒ・シュテープス：

• [1] プレリューディウム ― 人生の朝　アルトリコーダーとピアノのための  (1972)
• ニ調のソナタ　アルトリコーダーとピアノのための (1984)
  • [2] I. Mäßig bewegt – Lebhaft
  • [3] II. SCHERZO: Lebhaft　スケルツォ
    
  • [4] III. FANTASIE: Sehr ruhig　ファンタジー
  • [5] IV. Sehr lebhaft, in ganzen Takten – Straff
• [6] 飼い葉桶の歌　歌、旋律楽器、ピアノのための (1962)†
• ヴィルトゥオーゾ組曲　アルトリコーダーのための (1961)
  • [7] I. Allegro deciso
  • [8] II. Allegretto
    
  • [9] III. Andante moderato con grand' espressione
  • [10] IV. Presto possibile
• 全知全能の時の流れよ ― 聖歌風の詩　中声、リコーダー、ピアノのための (1966)‡
  • [11] I. Amnis aevi omnipotens!　全知全能の時の流れよ！
    
  • [12] II. Ecce timent homines　見よ、人は怯えている
  • [13] III. Gratia tibi et laus sit　あなたに感謝と賞賛がありますように
• フリオーゾ、ジーグ、アリア　リコーダーとピアノのための (1988)
  • [14] Furioso 
    
  • [15] Gigue: Presto scherzando
  • [16] Aria: Adagio con moto
  • [17] Gigue: Da capo
    

高橋明日香〈リコーダー〉
大瀧拓哉〈ピアノ〉
松井亜希〈ソプラノ〉†
布施奈緒子〈メゾソプラノ〉‡

使用楽器
竹山木管楽器製作所F管アルトリコーダー
平尾清治製作F管アルトリコーダー ブレッサンモデル
鈴木楽器製作所F管アルトリコーダー ステンズビーJr.モデル
モーレンハウエルF管アルトリコーダー デンナーモデル
プレスコットC管ソプラノリコーダー ステンベルゲンモデル
ヤマハC管テナーリコーダー

録音： コピスみよし（三芳町文化会館）　2024年4月4-6日